足立健

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新しい聖書 第一章 陰茎

そこは砂漠だった。痩せ細った男がオアシスを求めて歩き回っていたが、「水はみな枯れ果ててつぶやきも失せた」という言葉を最後に斃れるところだった。

そこにわたしが現れた。わたしは神である。
「チャンス 陰茎を晒せ」
男は首を振ろうとしたがそこに女が現れた。まるで一塊りの巨大な肉のようだった。
「不適切なお告げだ あなたは神ではない」
不遜な肉は、わたしの神性を否定した。男は思わず、
「これが世界か」とつぶやいた。

そこでわたしは、ヒントを与えることにした。
「ヒント:わたしたちはすでにあの山の向こうに到着しており、そこで永遠に生きることが約束されている」
女は感服し、わたしに正体を問いただした。わたしは、以下のように答えた。
「つまり わたしたちはチャンスを通り越して約束された救いの扉のまえに今立っていると言うこと ただその扉を通り過ぎるときに胸を張って通れるか、わたしたちは自問自答しなければならないと言うこと たとえば ここで陰茎を晒す勇気があなたにあるのか?ということ そういう テーマだということ」

女はあまりにも感動に打ち震えたが、あまりにも感動しすぎたので、
「しからば陰"性"を晒せばよいのか」
と言葉を噛んでしまった。わたしは寛大なのでまたも答えた。
「チャンス お前はいま誤字をした 人間はかならず間違えるものだ 人間存在の「揺らぎ」と逆説的な美しさを体験を通して学んだのだ」

女はまたしても感動に打ち震えた。そのうちに彼女の眉間からは段々巨大な陰茎が伸び始め、それは天頂を貫かんばかりにどこまでも伸びていったのだった。