最近ChatGPTがはやっています。ChatGPTの魅力は人間並みの言語処理能力を持つことで、であるからこそ私たちはとうとう生まれてしまった「言葉を持つ他者」の誕生におびえているわけです。今やChatGPTは今時点においてほとんどの一般人よりまともな小説を書けるともいいます。また、文章とは複製コストが情報媒体の中でも最も小さいものです。要は、ChatGPTが書いた文章も、自分が書いた文章も、太宰が書いた文章も、その違いを証明することは原理的に無理ということです。もっと言えば交換可能であると言えますし、本質的には同じだとすら言えます(だからこそ著作権が存在するのです)。少なくとも、数年以内に本当に見た目の上での違いは判別できなくなるでしょう。ChatGPT6くらいの生成器が太宰の文体で石原慎太郎の太陽の季節をリライトしてくれるような奇跡も当たり前になるかもしれません。映画の登場以来転げ落ちるように地位を失った文筆業界は、権威論証と人気商売でその命脈を保っています。おそらく現在アーティスト面できている連中の中では、文筆家の失職が最も早いでしょう。
そこで筆者は、自分の文章をBing搭載のChatGPTに食わせて短編を書かせてみました。お前のデータを食わせて何になるんだという批判は受け付けません。私は、現下の状況において集合的無意識における『永遠~Eternal』になることで文筆家としての哲学的寿命を長引かせようとしているわけです。一応ChatGPT生成の小説には引用をつけています(そもそもこいつに著作人格権ってあるの?)。一言二言私のコメントも挟んでいます。それでは行ってみましょう!
短編①
かなりよくできています。起承転結しっかりしていて、私の文章にありがちな変に大仰で自罰的な空気感もきちんと表現されています。あとこれ、何度か途中まで生成してもやっぱ無理!ってなって突然生成データが消えることがあったんですけど、どういうプロセスなんでしょうかね。処理落ちか、西海岸仕込みのファインチューニングと矛盾を起こす展開をしそうになって止められたのか、どっちなんでしょう。
短編②
多分URL指定の処理に失敗して最新記事から引用したのでしょう。正確に指定するプロンプトとかあるんですかね。文章としてはまあ悪くないです。ただエッセイの域を超えていない感じで、平凡さは否めないかも。
短編③
おそらく「敬虔さ(faithful)」というワードに反応したのでしょうか?これ何度かつくらせたんですけど(他は先述の感じでデータが飛んだ)、いずれにおいても神に対する向き合い方を基調とした小説を生成していました。
短編④
これ二つ載せてますけど、本当はデータが飛んだ一番最初に作らせたのがいちばんよかったんですよね。たしか神父の男と勇者の子供がBL的に愛し合い、神に命を捧げるまでを描いた美しい恋物語が展開されていて、普通に感動する出来となっていました。
短編⑤
これも多分食っちゃったデータが最新記事になってますね。コロニアルハウスという題名がまた面白い。私のIDは@omoide_colonialなのですが(noteのIDです)、おそらくそこからとった可能性が高いように感じます。途中で生成が終わってしまったのですが、多分このまま行くと、オモイデコロニアルということで、真の秘密は捨てられた「思い出」が地下倉庫にうずたかく積まれていることだったとか、そういう結末になるのではないでしょうか?
全体的な感想
AIの調子にもよりますが、10秒~1分程度でこのレベルの短編を粗製濫造できる(しかも極めて粗い指示文で)となると今後かなりの脅威になるでしょう。すくなくとも一部のトップ層を除く木っ端ライターは全員失職の危機にあります。ただ「現時点では」弱点がないわけでもなさそうですね。ちょっと引用からは省略したのですが、ChatGPTは短編を作るに当たってインターネットの『短編小説を作るには?ポイント解説!』的な記事から作り方を学んでいたみたいですね。まああまり良質な情報を食わされているわけではないっぽく、むこう2,3年の間はこれがボトルネックになるでしょう。また、文章は囲碁将棋チェスのような完全情報ゲームとは違い、定量的なデータ判断が難しいという側面もあるため、人間の仕事が必要とされる領域も残るかもしれません。それでもこの発展速度で行けば私たちの未来に命脈はなく、そもそも最も人間に有利な未来を迎えたとしても生き残りは1%にも満たないでしょう。いずれにしても私たちの書く文章には意味がなく、それよりもTikTokで踊っていた方がずいぶんとマシであることは間違いありません。
終わり(以下引用)
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引用した文章
捨てることの悦楽 - 愛と生きる意味 (hateblo.jp)
お前には才能が……(2022-10-5) - 愛と生きる意味 (hateblo.jp)
手紙(中途で放棄したメモ)(2022-4-3) - 愛と生きる意味 (hateblo.jp)
敬虔な痛みだけを抱いて(2022-4-27) - 愛と生きる意味 (hateblo.jp)