有吉弘行とマツコ・デラックスは、おそらく最後のテレビスターと呼ばれるべき存在だろう。彼ら以降に、テレビ一本で成り上がり、業界で枢要な地位を占め、その名が人口に膾炙した存在はおそらくいない。現在テレビで猛威を奮うひろゆきはそもそもテレビ(特に…
裏庭の夕景がひさびさに立っていた。僕の住む丘町には例のごとくのっぺらぼうが軒を連ねているが、何百メートルか先に見える、ピンセットで摘んで置かれたように整然と叙情されたちいさなちいさな大通りは、まるで、あらかじめ設えられた運命が世界の終わり…
春、空におおいかぶさる残雪が想いのかけらを散らす。軽薄そうな男は傘もささず平気な顔で大通りを闊歩していた。群衆は奇異の目で男を打ち見て、我関せずと言わんばかりに靴を高く鳴らす。彼らにとっては靴音だけが自己主張のよるべなのか。男は気にせず、…
ほんとうに大切なものを何の躊躇もなく捨ててしまったような気分になっています。純粋性を唾棄すべきものとして強く拒否をしていたらほんとうのほんとうにダメになってしまった。溢れる愛はもしかしたら半径5キロメートル以内にはあったのかもしれないのに僕…
脆く不確かな自分を抱えきれないので川に行った。基本的に人間生きていくためにはコップ一杯の水とパンケーキ一切れあらば問題ないなどとフランス革命時代のブルジョアみたいなことを宣っている俺は現代のプロレタリアート、ちなみに顔はキモい。飢えたこと…